
死亡後の手続き・未支給年金・遺族年金をわかりやすく解説
親が亡くなった後、忘れずに確認したいもののひとつが年金の手続きです。
「年金は自動的に止まるの?」
「亡くなった月の年金はもらえる?」
「死亡後に口座へ振り込まれた年金は使っていい?」
「未支給年金って何?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
年金を受け取っていた方が亡くなると、年金を受け取る権利はなくなります。
ただし、亡くなった方がまだ受け取っていない年金については、一定の条件を満たす遺族が「未支給年金」として受け取れる場合があります。
ここでは、親が亡くなった後の年金について、家族が確認しておきたいことを順番に解説します。
親が亡くなった後の年金手続き
まずは全体の流れを確認してみましょう。
① 親が受け取っていた年金を確認する
↓
② 年金の死亡手続きが必要か確認する
↓
③ 未支給年金がないか確認する
↓
④ 未支給年金を請求する
↓
⑤ 遺族年金を受け取れる人がいないか確認する
特に注意したいのが、
「死亡したら年金はすべて終わり」と考えないこと。
亡くなった月までの年金について、まだ本人が受け取っていないものがあれば、遺族が請求できる可能性があります。
① 親が受け取っていた年金を確認する
まず、亡くなった親がどのような年金を受け取っていたのか確認しましょう。
例えば、
・老齢基礎年金
・老齢厚生年金
・障害年金
・遺族年金
などがあります。
年金証書や年金振込通知書などが残っていれば確認しておきましょう。
書類が見つからない場合には、年金事務所などへ相談する方法もあります。
② 年金の「死亡届」が必要か確認する
年金を受け取っていた方が亡くなると、原則として死亡に関する手続きが必要になります。
ただし現在は、日本年金機構に亡くなった方のマイナンバーが収録されている場合、「年金受給権者死亡届(報告書)」は原則不要です。
一方、マイナンバーが収録されていないなど、死亡届が必要になるケースもあります。
死亡届が必要な場合、日本年金機構では原則、
厚生年金など:死亡後10日以内
国民年金:死亡後14日以内
の届出を案内しています。
「親の場合は提出が必要なのかわからない」という場合は、年金事務所へ確認すると安心です。
③ 「未支給年金」がないか確認する
親が亡くなったときに、ぜひ確認してほしいのが未支給年金です。
年金は亡くなった月分まで支給されます。
例えば、
8月10日に亡くなった場合
8月分までの年金を受け取る権利があります。
しかし、年金の支払い時期との関係で、亡くなった本人がその年金を受け取れないことがあります。
このような、
亡くなった時点でまだ振り込まれていない年金
などを、一定の遺族が「未支給年金」として請求できます。
未支給年金は誰でも受け取れる?
未支給年金は、単純に「相続人なら誰でも受け取れる」というものではありません。
亡くなった当時、その方と生計を同じくしていた遺族が対象となり、受け取れる順位があります。
① 配偶者
② 子
③ 父母
④ 孫
⑤ 祖父母
⑥ 兄弟姉妹
⑦ その他の3親等内の親族
という順番です。
そのため、
「親が亡くなったから、子どもである自分が必ず受け取れる」
とは限りません。
例えば、亡くなった親と生計を同じくしていた配偶者がいる場合などは、受け取れる人を確認する必要があります。
④ 未支給年金を請求する
未支給年金は、条件を満たしていても自動的に遺族へ振り込まれるわけではありません。
請求手続きが必要です。
現在は、
「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」
を使用して手続きを行います。
必要書類は状況によって異なりますが、年金証書や、請求者と亡くなった方との関係・生計同一関係を確認できる書類などが必要になる場合があります。
詳しい必要書類については、手続き前に日本年金機構の最新情報を確認しましょう。
死亡後に年金が振り込まれたら使っていい?
ここは特に注意したいポイントです。
亡くなった後に親の銀行口座へ年金が振り込まれることがあります。
しかし、
「振り込まれた=すべて自由に使っていい」
とは限りません。
亡くなった月分までの年金については未支給年金として扱われるものがありますが、それより後の期間に対応する年金が支払われてしまった場合、返還が必要になることがあります。
日本年金機構も、死亡の届出が遅れて年金を多く受け取った場合には、後から返還が必要になることがあると案内しています。
そのため、死亡後に年金の入金を見つけても、すぐに引き出したり使ったりせず、年金事務所へ確認しましょう。
親の銀行口座を先に解約しても大丈夫?
年金と銀行口座の手続きは関連するため、順番に迷うところです。
日本年金機構では、未支給年金を請求した場合でも、亡くなった方の口座を解約していないと、その口座へ入金される場合があると案内しています。口座の解約については金融機関への相談が必要です。
銀行口座については、別の記事で詳しく解説しています。
👉 関連記事:親が亡くなったら銀行口座はどうなる?凍結・解約・相続手続きを解説
⑤ 遺族年金を受け取れる場合もある
もうひとつ確認したいのが遺族年金です。
未支給年金と遺族年金は別の制度です。
未支給年金
→ 亡くなった方が受け取るはずだった年金
遺族年金
→ 一定の要件を満たした遺族に支給される年金
と考えるとわかりやすいでしょう。
亡くなった方の年金加入状況や遺族の年齢、続柄などによって、遺族基礎年金や遺族厚生年金などを受け取れる可能性があります。
「自分たちには関係ないだろう」と決めつけず、対象になる可能性がある場合は年金事務所などへ確認してみましょう。
年金と生命保険は別々に確認しよう
親が亡くなった後のお金に関する手続きでは、
年金
生命保険
銀行預金
が混同されがちです。
しかし、それぞれ手続き先も制度も異なります。
生命保険については、保険証券などを探し、加入していた保険会社へ死亡保険金を請求します。
👉 関連記事:親が亡くなったら生命保険はどうする?死亡保険金の請求方法と保険の探し方
年金手続きで慌てないために、生前に確認しておきたいこと
親が元気なうちに年金について細かく聞く必要はありません。
ただ、
・年金関係の書類をどこに保管しているか
・年金をどの銀行口座で受け取っているか
・年金証書があるか
・年金以外にどのような収入があるか
などを家族で共有しておくと、いざというときの負担を減らせます。
特に「大事な書類がどこにあるか」だけでも確認しておくと安心です。
まとめ|親が亡くなったら年金も忘れず確認しよう
親が亡くなった後は、葬儀や役所、銀行、保険、相続など多くの手続きがあります。
その中で年金は忘れてしまいやすい手続きのひとつです。
大切なのは、
年金の死亡手続きが必要か確認する
未支給年金がないか確認する
死亡後の振込を勝手に使わない
遺族年金の対象にならないか確認する
ことです。
すべてを一度に済ませようとせず、一つずつ確認していきましょう。
事前に年金関係の書類や受取口座を家族で共有しておくことも、将来の負担を減らす大切な「そなえ」になります。