
実家・不動産の相続と名義変更をわかりやすく解説
親が亡くなった後、預貯金や生命保険とともに大きな問題になりやすいのが「実家」です。
「親名義の家は、そのままにしておいても大丈夫?」
「誰の名義に変更すればいい?」
「兄弟がいる場合はどうする?」
「誰も住まないなら、すぐ売ったほうがいい?」
親が亡くなった直後は葬儀や各種手続きに追われるため、実家については後回しになりがちです。
しかし、実家や土地も大切な相続財産です。
ここでは、親が亡くなった後の実家・土地などの不動産について、何から確認すればいいのか順番に解説します。
まず確認|親名義の不動産も相続財産です
親が所有していた、
・実家
・土地
・マンション
・アパート
・駐車場
・山林や農地
などの不動産は、原則として相続財産になります。
「実家には価値がなさそうだから関係ない」と判断してしまうのはおすすめできません。
建物の価値が低くても土地に価値がある場合がありますし、固定資産税や管理費などが発生することもあります。
まずは、親がどのような不動産を所有していたのか確認しましょう。
親が亡くなった後の不動産手続きの流れ
大まかな流れは次のようになります。
① 親が所有していた不動産を確認する
↓
② 相続人を確認する
↓
③ 遺言書の有無を確認する
↓
④ 相続財産全体を確認する
↓
⑤ 誰が不動産を相続するか決める
↓
⑥ 相続登記を行う
↓
⑦ 住む・売る・貸すなど今後を決める
特に重要なのが、いきなり実家だけを処分しようとしないことです。
預貯金・有価証券・借金なども含めて、相続財産全体を確認してから判断しましょう。
① 親名義の不動産を確認する
まずは「本当に親名義なのか」を確認します。
実家に住んでいたからといって、必ずしも土地・建物の両方が親名義とは限りません。
例えば、
「建物は父名義、土地は祖父名義」
というケースもあります。
固定資産税の納税通知書や登記事項証明書などを確認し、所有者を把握しましょう。
② 相続人を確認する
次に重要なのが「誰が相続人になるのか」です。
一般的には、亡くなった方の配偶者や子どもなどが相続人になります。
例えば父親が亡くなり、
・母親
・長男
・長女
がいる場合、実家についてもこの相続人たちで話し合うことになります。
「長男だから自動的に実家を相続する」というわけではありません。
③ 遺言書がないか確認する
不動産の相続を決める前に、遺言書が残されていないか確認します。
遺言書に、
「自宅は長男に相続させる」
などの記載がある場合、相続手続きに大きく影響します。
自宅の金庫や引き出しだけでなく、公正証書遺言などが作成されていないかも確認しましょう。
④ 誰が実家を相続するか話し合う
遺言書などで相続方法が決まっていない場合には、相続人同士で遺産分割について話し合います。
これを遺産分割協議といいます。
実家については、
一人が相続する
売却して代金を分ける
複数人で共有する
などの方法があります。
ただし、安易に共有名義にすると、将来売却するときなどに複数の所有者の意思確認が必要になることがあります。
「とりあえず兄弟で共有しておこう」と決める前に、その後の管理まで考えることが大切です。
⑤ 不動産の名義を変更する「相続登記」
実家を誰が相続するか決まったら、不動産の名義を亡くなった親から相続人へ変更します。
この手続きを相続登記といいます。
2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
原則として、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
「実家には当分住まないから名義はそのままでいい」という扱いにはしないよう注意しましょう。
相続した実家はどうする?
名義変更が終わった後は、実家をどうするか考えます。
主な選択肢は、
住む
売る
貸す
空き家として保有する
の4つです。
どれが正解というわけではありません。
立地、建物の状態、家族構成、維持費などによって判断は変わります。
誰も住まない場合は「空き家」に注意
相続した実家に誰も住まない場合でも、家の管理は必要です。
空き家になると、
・庭木や雑草が伸びる
・建物が傷む
・雨漏りが発生する
・害虫や害獣が入り込む
・防犯上の問題が起こる
などの可能性があります。
また、固定資産税や火災保険、修繕費などの負担も続きます。
「とりあえずそのまま」にする場合でも、定期的な管理方法を決めておきましょう。
👉 関連記事:空き家になった実家、どうする?売る・貸す・管理する方法を解説
すぐに売却を決めなくても大丈夫
親が亡くなった直後は、気持ちの整理がついていないこともあります。
思い出のある実家について、
「早く処分しなければ」
と焦って決める必要はありません。
一方で、何年も何も決めず放置してしまうと、建物の劣化や維持費、相続関係の複雑化などにつながる可能性があります。
まずは、
誰が相続するのか
誰が管理するのか
今後住む可能性があるのか
この3点だけでも家族で話し合っておくとよいでしょう。
相続放棄を考えている場合は注意
親に借金があるなどの理由で相続放棄を検討している場合は、実家だけを先に自分のものとして処分するような行動には注意が必要です。
相続放棄には期限があり、原則として自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
判断に迷う場合は、実家や預貯金だけでなく、借金を含めた相続財産全体を確認してから専門家へ相談しましょう。
親が元気なうちに確認しておきたいこと
実家の問題は、親が亡くなってから初めて考えるよりも、生前に少し確認しておくだけで負担が大きく変わります。
例えば、
・実家の土地と建物は誰名義か
・住宅ローンは残っているか
・実家以外の土地を所有していないか
・権利証などの書類はどこにあるか
・親自身は家を将来どうしてほしいのか
などです。
「家をどうする?」という話は切り出しにくいものですが、家族みんなが困らないための確認と考えてみましょう。
まとめ|実家は「名義」と「これから」を確認しよう
親が亡くなった後の実家について大切なのは、すぐに売るかどうかを決めることではありません。
まず、
誰の名義になっているのか
誰が相続するのか
相続登記をどうするのか
今後誰が管理するのか
を一つずつ整理していきましょう。
実家は預貯金と違い、所有しているだけでも管理が必要になる財産です。
だからこそ、家族で早めに話し合っておくことが、将来の負担を減らす「そなえ」につながります。