
親が亡くなり、実家を相続することになったとき、
「この家、どうすればいいんだろう?」
と悩む方は少なくありません。
自分が住む予定はない。
でも、長年家族が暮らした家をすぐ売るのも寂しい。
かといって、誰も住まないまま残しておくのも心配……。
実家を相続したあとの主な選択肢には、
売る
自分や家族が住む
貸す
しばらく残す
などがあります。
どれが正解というものではありません。
大切なのは、気持ちだけで決めるのでも、急いで処分するのでもなく、家の状態・家族の意向・維持費・将来の負担まで含めて考えることです。
この記事では、親の家を相続したときの4つの選択肢と、判断する前に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。
実家を相続しても、すぐに売る必要はない
親が亡くなると、
葬儀
相続手続き
銀行口座
保険
年金
遺品整理
など、短期間にさまざまな手続きが発生します。
その中で実家についても、
「早く売らないといけないのでは?」
と焦ってしまうことがあります。
しかし、相続したからといって、必ずすぐに売却しなければならないわけではありません。
まずは、
誰が相続するのか
誰か住む人はいるのか
売却する可能性はあるのか
貸すことはできそうか
維持する場合いくらかかるのか
などを整理していきましょう。
ただし、相続登記には期限があります。
不動産を相続したことを知った日から原則として3年以内に相続登記を申請することが義務化されています。
「家をどうするか決まっていないから、名義変更も後でいい」
とは考えず、相続手続きと家の活用方法は分けて考えることが大切です。
親の家を相続したときの4つの選択肢
大きく分けると、次の4つがあります。
| 選択肢 | メリット | 注意したいこと |
|---|---|---|
| 売る | 管理負担を減らせる | 売却価格・税金・片付け |
| 住む | 家を活用できる | 修繕・生活環境 |
| 貸す | 家賃収入の可能性 | 修繕・管理・空室 |
| 残す | 判断を急がなくていい | 維持費・空き家管理 |
順番に見ていきましょう。
選択肢① 実家を売る
自分や兄弟姉妹の誰も住む予定がない場合、売却は代表的な選択肢です。
売却すれば、
- 固定資産税
- 火災保険
- 庭の手入れ
- 建物の管理
- 定期的な換気
- 遠方からの見回り
など、将来的な負担を減らせる可能性があります。
特に、
「子ども全員が実家から離れて暮らしている」
という家庭では検討しやすい方法です。
売る前に「いくらくらいになるか」を確認する
実家を売るかどうか迷っている段階でも、まず現在の価値を確認する方法があります。
例えば、
「2,000万円くらいになると思っていた」
のに、実際の査定では大きく違っていたとすれば、その後の判断も変わります。
反対に、
「古い家だからほとんど価値がないだろう」
と思っていた土地に需要がある場合もあります。
売却すると決める前に、
「売った場合、どのくらいになる可能性があるのか」
を把握しておくと、家族で話し合いやすくなります。
選択肢② 自分や家族が住む
実家をそのまま住居として利用する方法もあります。
例えば、
子どもが住む
孫世帯が住む
定年後に自分が戻る
といったケースです。
思い入れのある実家を残しながら活用できるのがメリットです。
ただし、
築年数
耐震性
水回り
屋根・外壁
断熱性
などによっては、まとまった修繕費が必要になることがあります。
「家があるから住宅費がかからない」
と単純には考えず、これから住める状態にするためにいくら必要かも確認しましょう。
選択肢③ 実家を貸す
「売るのはまだ決心できない。でも誰も住まない」
という場合、賃貸として貸し出す方法もあります。
入居者が見つかれば、家賃収入を得られる可能性があります。
ただし、
貸せば必ず利益が出る
わけではありません。
賃貸に出すために、
- リフォーム
- 設備交換
- ハウスクリーニング
- 仲介費用
- 管理費
などが必要になる場合があります。
さらに入居者が見つからなければ、空室期間中も所有者側の負担は続きます。
そのため、
「この地域で賃貸需要があるのか」
を確認することが重要です。
選択肢④ しばらく残す
「まだ気持ちの整理がつかない」
「兄弟で意見がまとまっていない」
という場合は、すぐに売却せず、一定期間残すという選択肢もあります。
親が亡くなった直後に、
思い出の詰まった実家をすぐ処分する
ことに抵抗を感じるのは自然なことです。
ただし、
「残す」=「何もしなくていい」
ではありません。
誰も住まなくなった家には、管理が必要です。
空き家にすると何が大変?
人が住まなくなった住宅は、思っている以上に傷みやすくなります。
例えば、
換気されない
↓
湿気がこもる
↓
カビ・腐食
という問題が起きることがあります。
そのほか、
- 庭木や雑草
- 害虫・害獣
- 雨漏り
- 郵便物
- 防犯
- 台風などによる破損
にも注意が必要です。
近所に迷惑をかける状態になれば、所有者として対応しなければなりません。
空き家を放置すると税金にも影響することがある
住宅用地には固定資産税などの軽減措置がありますが、管理状態が悪く、法律に基づく勧告を受けた特定空家等や管理不全空家等については、住宅用地特例の対象から外れる場合があります。
つまり、
「誰も住んでいないけれど、とりあえずそのまま」
を何年も続けるのはおすすめできません。
売るかどうか決められない場合でも、適切な管理は続ける必要があります。
兄弟で実家を共有する場合は慎重に
例えば、兄と妹の2人が相続人だったとします。
「とりあえず半分ずつ共有名義にしておこう」
という方法も考えられます。
しかし、不動産を共有すると、将来、
売りたい人
残したい人
で意見が分かれる可能性があります。
さらに次の世代へ相続されると、共有者が増えて関係が複雑になることもあります。
共有にする場合は、
「この家を将来どうするのか」
まで家族で話し合っておくことが大切です。
実家を売る前に遺品整理は必要?
必ずしも家の中を完全に空にしてからでなければ相談できないわけではありません。
ただし、実際に売却を進める段階では、
家具
家電
衣類
食器
写真
書類
貴重品
などをどうするか考える必要があります。
ここで注意したいのが、
何でもまとめて捨てないこと。
実家の片付けでは、価値のあるものが混ざっていることがあります。
→ 「遺品整理で売れるもの」
→ 「古いブランド品や時計は売れる?」
重要書類は捨てない
実家の片付けでは、書類を大量に処分することになります。
しかし、
- 権利証・登記識別情報
- 固定資産税関係の書類
- 売買契約書
- 測量図
- 境界に関する書類
- リフォーム関係書類
など、不動産に関係する書類が残っている場合があります。
何の書類か分からない場合は、売却や相続の確認が終わるまで別に保管しておきましょう。
実家じまいは「家を売ること」だけではない
「実家じまい」というと、
実家を売却すること
と思われがちです。
しかし実際には、
家族で話し合う
↓
相続手続きをする
↓
家の中を整理する
↓
残すものを決める
↓
不用品を処分する
↓
家をどうするか決める
↓
必要な契約を整理する
という一連の作業です。
→ 「実家じまいとは?何から始める?」
実家をどうするか決める5つの判断ポイント
迷ったら、次の5項目を家族で確認してみましょう。
① 誰か住む予定がある?
現在だけでなく、数年後も考えます。
誰も住む予定がないなら、売却や賃貸を検討しやすくなります。
② 維持費はいくら?
固定資産税だけではありません。
保険・修繕・庭・交通費・管理費
なども含めて考えましょう。
③ 家の状態は?
築年数や修繕状況によって、今後必要になる費用が変わります。
④ 売るといくらくらい?
売却するかどうかにかかわらず、現在の価値を知っておくと判断材料になります。
⑤ 家族はどう思っている?
金額だけでは決められないのが実家です。
「残したい」
「売りたい」
「自分が住みたい」
など、それぞれの考えを早めに確認しましょう。
「とりあえずそのまま」が一番困りやすい
実家の問題で避けたいのが、
「そのうち考えよう」
と何年も放置することです。
時間が経つほど、
家が傷む
↓
片付けが進まない
↓
修繕費が増える
↓
相続人も年齢を重ねる
という状況になる可能性があります。
今すぐ売却する必要はありません。
でも、
「いつまでに方向性を決めるか」
だけは家族で決めておくと進めやすくなります。
実家を相続したときのチェックリスト
相続関係
- □ 相続人を確認した
- □ 遺言書の有無を確認した
- □ 不動産の名義を確認した
- □ 相続登記について確認した
家について
- □ 誰か住む予定があるか
- □ 築年数・状態を確認した
- □ 固定資産税を確認した
- □ 維持費を確認した
- □ 売却した場合の価格を確認した
家族について
- □ 売る・残すについて話した
- □ 共有名義について検討した
- □ 思い出の品を確認した
片付け
- □ 貴重品を探した
- □ 重要書類を分けた
- □ 売れるものを確認した
- □ 写真・思い出の品を確認した
よくある質問
Q.実家を相続したらすぐ売らないといけませんか?
必ずすぐ売却しなければならないわけではありません。
売る・住む・貸す・残すなどの選択肢があります。
ただし相続登記には期限があるため、「家をどうするか」と「必要な相続手続き」は分けて考えましょう。
Q.誰も住まないなら売った方がいい?
一概には言えません。
売却価格、維持費、家族の意向、将来利用する可能性などを比較して判断します。
Q.売るか迷っていても査定していい?
売却を決める前に、現在の価格を判断材料として確認する方法があります。
査定を受けたからといって、その会社へ必ず売却しなければならないわけではありません。
Q.実家を兄弟で共有しても大丈夫?
共有自体は可能ですが、将来の売却・管理などで意見が分かれる可能性があります。
共有する場合は、将来どうするのかまで話し合っておくことが大切です。
Q.家具が残っていても家を売れますか?
不動産会社への相談自体はできます。
ただし売却方法や引き渡し条件によって片付けが必要になるため、具体的な対応は依頼する不動産会社へ確認しましょう。
まとめ|「売る・残す」ではなく4つの選択肢から考えよう
親の家を相続したら、
売るか、残すか
の二択で考える必要はありません。
主な選択肢は、
①売る
②自分や家族が住む
③貸す
④しばらく残す
の4つです。
大切なのは、
家族の気持ち
家の状態
現在の価値
維持費
将来の負担
を一緒に考えることです。
そして、
「今はまだ決められない」
という場合でも、何もしないまま放置するのではなく、
相続手続き
空き家の管理
実家の片付け
は少しずつ進めていきましょう。
実家は、家族にとって思い出の詰まった場所です。
だからこそ、急いで手放す必要も、無理に残し続ける必要もありません。
家族にとって一番負担の少ない方法は何か。
それを考えることが、実家じまいの第一歩になります。