
「離れて暮らす親が一人暮らしをしているけれど、最近ちょっと心配になってきた」
「電話には出ているけれど、本当にちゃんと生活できているのかな?」
「毎日実家へ行くことはできないし、何をしておけば安心?」
親が元気なうちは、一人暮らしをしていてもそれほど心配することはないかもしれません。
しかし年齢を重ねるにつれて、
転倒していない?
ちゃんと食事をしている?
薬を飲めている?
詐欺に遭っていない?
急に具合が悪くなったら?
と、少しずつ心配事が増えてきます。
特に離れて暮らしている場合、毎日様子を見に行くことは現実的ではありません。
だからこそ大切なのは、
「家族が毎日見に行く」ことではなく、「離れていても異変に気づける仕組みを作る」こと。
この記事では、高齢の親が一人暮らしをしている家庭に向けて、家族ができる見守り対策を分かりやすく解説します。
まず確認|親の一人暮らしで心配なことは?
漠然と、
「一人暮らしだから心配」
と考えるだけでは、必要な対策が分かりません。
まずは、何が心配なのか整理してみましょう。
| 心配なこと | チェック |
|---|---|
| 転倒 | □ |
| 急病 | □ |
| 食事 | □ |
| 薬 | □ |
| 火の消し忘れ | □ |
| 認知症 | □ |
| 詐欺・悪質商法 | □ |
| 孤独・孤立 | □ |
| 買い物 | □ |
| 通院 | □ |
| お金の管理 | □ |
| 災害時 | □ |
チェックが付いた項目によって、必要な見守り方法も変わります。
「毎日電話しているから大丈夫」とは限らない
親の見守りとして最初に思いつくのが、電話やLINEではないでしょうか。
もちろん、定期的に連絡することは大切です。
ただ、
「元気?」
「元気だよ」
だけで終わってしまうと、生活の変化に気づきにくいことがあります。
例えば電話するときに、
「今日は何食べた?」
「病院はいつだっけ?」
「買い物には行けた?」
「最近転んだりしてない?」
など、普段の生活について自然に聞いてみると変化に気づきやすくなります。
① 家族で連絡する曜日を決める
毎日連絡しようとすると、家族側にも負担がかかります。
そこで、
月・水・金は娘
火・木は息子
土日はどちらか
など、家族で分担する方法があります。
もちろん、毎日連絡する必要がない家庭もあります。
親の状態に合わせて、
週1回
2~3日に1回
毎日
など頻度を決めましょう。
大切なのは、連絡がなかったときに誰が確認するかまで決めておくことです。
② 「連絡が取れないとき」のルールを決める
見守りで特に重要なのがここです。
例えば、
朝に電話
↓
出ない
↓
昼にもう一度電話
↓
それでも出ない
↓
近くに住む親族へ連絡
など、あらかじめルールを決めておきます。
緊急性が疑われる場合には、状況に応じて適切な機関へ連絡する必要があります。
「電話に出ない=すぐ大変なことが起きている」とは限りませんが、いつ、誰が、どのように確認するかを決めておくと家族も動きやすくなります。
③ 転倒しにくい家にする
高齢者の一人暮らしでは、家の中の安全対策も重要です。
特に確認したいのが、
- 玄関
- 廊下
- 階段
- トイレ
- 浴室
- ベッド周辺
です。
例えば、
小さなカーペット
床の電気コード
新聞や雑誌
低い家具
夜間の暗い廊下
などは、つまずく原因になることがあります。
「大規模なリフォームをする」前に、まず床に物を置かない・夜間の足元を明るくするなど、できることから始めましょう。
④ お風呂・トイレの安全を確認する
浴室やトイレは、一人暮らしで特に気になる場所です。
例えば浴室なら、
- 浴槽をまたげる?
- 滑らない?
- 一人で立ち上がれる?
などを確認します。
必要に応じて、
- 手すり
- シャワーチェア
- 滑り止め
- 浴槽台
などを検討します。
要介護・要支援認定を受けている場合は、福祉用具や住宅改修について介護保険を利用できる場合もあるため、ケアマネジャーなどへ相談しましょう。
⑤ 食事をきちんと取れているか確認する
親から、
「ちゃんと食べてるよ」
と言われても、実際には、
パンだけ
お菓子だけ
カップ麺だけ
という日が増えていることもあります。
実家へ行ったときは、
- 冷蔵庫に食材がある?
- 同じ食品ばかり買っていない?
- 賞味期限切れが大量にない?
- 極端に痩せていない?
なども確認してみましょう。
買い物や調理が難しくなっている場合は、
宅配弁当
ネットスーパー
家族による作り置き
訪問介護
などを組み合わせる方法があります。
⑥ 薬をきちんと飲めているか確認する
薬の管理も、一人暮らしでは重要です。
特に複数の病院へ通っている場合は、
朝・昼・夜・寝る前
など、薬の種類が増えることがあります。
確認したいのは、
- 飲み忘れていない?
- 二重に飲んでいない?
- 古い薬が大量に残っていない?
- お薬手帳を使っている?
などです。
本人だけでの管理が難しくなってきた場合は、医師・薬剤師・ケアマネジャーなどへ相談しましょう。
⑦ 火の消し忘れ対策をする
ガスコンロを使用している場合、
「火を消したかな?」
という心配が出てくることがあります。
安全機能の付いた機器やIH調理器などを検討する家庭もあります。
ただし、
IHに変えればすべて解決する
わけではありません。
電子レンジの使い方や電気ケトルなども含めて、本人が安全に使用できる方法を考えましょう。
⑧ 詐欺・悪質商法への対策をする
高齢者の一人暮らしでは、特殊詐欺や訪問販売などにも注意が必要です。
家族で、
「知らない人からお金の話をされたら、まず電話して」
とルールを決めておくのも一つの方法です。
また、
- 知らない番号にはすぐ出ない
- 留守番電話を活用する
- 知らない訪問者を家に入れない
- お金を要求されたら家族に確認する
など、本人と一緒に対策を考えておきましょう。
⑨ 通院できているか確認する
親が、
「病院にはちゃんと行ってるよ」
と言っていても、
受診日を忘れていた
ということがあります。
- 次回受診日はいつ?
- 一人で病院まで行ける?
- 医師の説明を理解できている?
- 薬を受け取れている?
まで確認しましょう。
家族が仕事などで付き添えない場合には、介護保険や介護保険外の付き添いサービスを利用できる場合があります。
→ 「親の通院に付き添えないときは?」
⑩ 見守りサービスを利用する
家族による連絡だけでは不安な場合、民間企業や自治体などが提供する高齢者向けの見守りサービスを利用する方法もあります。
サービスによって、
- センサー
- 緊急通報
- 電話
- 訪問
- 家電の使用状況
- スマートフォン
など、見守り方法はさまざまです。
重要なのは、
高機能なサービスを選ぶことではなく、親本人が無理なく使えること。
機械が苦手な親に複雑な操作を求めても、使われなくなる可能性があります。
見守りカメラは必要?
室内カメラを設置すれば、離れた場所から親の様子を確認できる場合があります。
ただし、
「親だから勝手に設置していい」
とは考えない方がよいでしょう。
親本人にとっては、自宅で常に見られているように感じる可能性があります。
導入する場合は、
何のために設置するのか
どこを映すのか
誰が確認できるのか
を本人と話し合いましょう。
「見守り」と「監視」は違う
親が心配になると、
毎日何度も電話する
位置情報をずっと確認する
家の様子を細かくチェックする
という状態になってしまうことがあります。
しかし親本人にとっては、
「まだ自分で生活できるのに」
と負担に感じるかもしれません。
見守りの目的は、親の生活をすべて管理することではなく、異変が起きたときに気づけるようにすることです。
本人の気持ちも確認しながら方法を決めましょう。
【重要】お金の管理に変化がないか確認する
一人暮らしの親について、ぜひ確認してほしいのがお金です。
例えば、
- 同じ物を何度も買う
- 公共料金を払い忘れる
- ATMの操作が分からなくなる
- 身に覚えのない契約が増える
- 通帳や印鑑を頻繁になくす
- 「お金がなくなった」と言うことが増える
などです。
こうした変化がある場合、単なるうっかりなのか、認知機能の変化などが関係しているのか確認する必要があります。
親が元気なうちに、財産や重要書類について家族で話しておくことも大切です。
→ 「親の財産チェックリスト」
一人暮らしが難しくなってきたサイン
年齢だけで、
「○歳になったから一人暮らしは無理」
と判断することはできません。
見るべきなのは年齢よりも生活の状態です。
例えば、
- 転倒が増えた
- 食事をほとんど作らなくなった
- 薬を管理できない
- 火の消し忘れがある
- 通院を忘れる
- 同じ物を大量に買う
- 家が極端に散らかってきた
- 外出しなくなった
- 家族が毎日支援しないと生活できない
などの変化が重なってきた場合は、今後の生活について一度相談してみてもよいでしょう。
まずは地域包括支援センターへ相談してもいい
「まだ介護というほどではない」
という段階でも、地域包括支援センターへ相談できます。
地域包括支援センターは、市町村が設置する高齢者の総合相談などを担う機関で、保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどが配置されています。
親の住んでいる地域のセンターへ、
「離れて暮らす親の一人暮らしが心配です」
と相談してみましょう。
要介護認定を検討した方がいい?
例えば、
入浴が一人で難しい
買い物へ行けない
掃除ができない
歩行が不安定
通院に介助が必要
など、日常生活に支援が必要になってきた場合は、要介護・要支援認定について相談するタイミングかもしれません。
→ 「要介護認定とは?」
「介護サービスを使う=老人ホームに入る」
という意味ではありません。
訪問介護やデイサービスなどを利用しながら、一人暮らしを続けられる場合もあります。
家族だけで見守ろうとしない
遠距離介護で特に避けたいのが、
家族だけで24時間見守ろうとすること
です。
例えば、
「朝電話する」
「昼休みに電話する」
「夜も電話する」
「出なかったら実家まで行く」
という生活を毎日続ければ、家族側も疲れてしまいます。
必要に応じて、
家族
+
介護サービス
+
地域
+
民間の見守りサービス
を組み合わせましょう。
介護保険では足りない場合もある
例えば、
- 長時間の見守り
- 趣味の外出への付き添い
- 通院の付き添い
- 介護保険対象外の生活支援
などは、希望どおり介護保険で対応できないことがあります。
その場合は、自費の介護保険外サービスを必要なときだけ利用する方法もあります。
→ 「介護保険ではできないことは?」
一人暮らしを続けるのが難しくなったら?
介護サービスなどを組み合わせても、
一人になる時間が心配
という状態になることがあります。
その場合は、
- 家族との同居
- サービス付き高齢者向け住宅
- 有料老人ホーム
- その他の介護施設
なども選択肢になります。
ただし、本人の希望を聞かずに、
「危ないから施設に入って」
と決めてしまうと、本人が納得できない可能性があります。
できれば元気なうちから、
「もし一人暮らしが難しくなったら、どうしたい?」
と話しておきましょう。
高齢の親の一人暮らしチェックリスト
実家へ帰ったときに確認してみましょう。
健康
- □ 最近転んでいない
- □ 極端に痩せていない
- □ 通院できている
- □ 薬を飲めている
- □ 会話に大きな変化がない
食事・生活
- □ 冷蔵庫に食べ物がある
- □ 賞味期限切れが大量にない
- □ 洗濯できている
- □ ゴミがたまっていない
- □ 部屋が極端に散らかっていない
安全
- □ 火の消し忘れがない
- □ 床に転倒しそうな物がない
- □ 浴室を安全に使える
- □ 夜間トイレへ行ける
- □ 緊急時に電話できる
お金
- □ 公共料金を支払えている
- □ 不審な契約がない
- □ 同じ物を大量購入していない
- □ 通帳などを管理できている
家族との連絡
- □ 定期的に連絡が取れる
- □ 緊急連絡先が分かる
- □ 連絡が取れないときのルールがある
- □ 家族だけに負担が集中していない
チェックできない項目が増えてきたら、必要な支援について考えるタイミングです。
まとめ|「毎日見に行く」より「見守れる仕組み」を作ろう
高齢の親が一人暮らしをしていると、
「何かあったらどうしよう」
と心配になります。
しかし、家族が毎日実家へ通い続けるのは現実的ではありません。
まず、
何が心配なのか整理
↓
定期的に連絡
↓
自宅の安全対策
↓
食事・薬・通院を確認
↓
緊急時の連絡方法を決める
↓
必要なら介護・見守りサービスを利用
という順番で考えてみましょう。
そして重要なのは、
親をずっと監視することではなく、異変があったときに気づける状態を作ること。
親本人の「できるだけ自宅で暮らしたい」という気持ちと、家族の「安全に暮らしてほしい」という気持ち。
その両方を大切にしながら、家族だけで抱え込まない見守り方法を考えていきましょう。