
「親に介護が必要になってきたけれど、介護保険はどうやって使うの?」
「要介護1や要支援2って、何が違うの?」
初めて親の介護に向き合うと、聞き慣れない言葉が次々と出てきます。
その中でも、介護サービスを利用するときに知っておきたいのが「要介護認定」です。
要介護認定は、簡単にいうと「どのくらい介護や支援が必要な状態なのか」を判定する仕組みです。
この記事では、要介護認定の申請から認定結果が届くまでの流れ、要支援と要介護の違い、認定調査を受けるときに家族が知っておきたいポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説します。
要介護認定とは?
介護保険による介護・予防サービスを利用する際には、原則として市区町村から要介護または要支援の認定を受けます。
認定結果は大きく、
要支援1・2
要介護1〜5
に分かれています。
ただし、単純に病気の重さだけで決まるものではありません。
本人の心身の状態や、日常生活の中でどの程度介護の手間が必要なのかなどを踏まえて判定されます。
要支援と要介護は何が違う?
「要支援」と「要介護」は名前が似ていますが、状態や利用するサービスの考え方が異なります。
要支援1・2
現在はある程度自立した生活ができているものの、生活機能の維持・改善のために支援が必要な状態です。
介護予防を目的としたサービスなどを利用します。
要介護1〜5
日常生活の中で継続的な介護が必要と判断された状態です。
数字が大きくなるにつれて、一般的には必要となる介護の程度も大きくなります。
ただし、
「この病気なら要介護○」
というように病名だけで決まるわけではありません。
要介護認定を受けるまでの流れ
初めて申請する方は複雑に感じるかもしれませんが、大まかな流れを知っておけば大丈夫です。
① 市区町村へ申請
↓
② 認定調査
↓
③ 主治医意見書
↓
④ 一次判定
↓
⑤ 介護認定審査会による審査・判定
↓
⑥ 市区町村が認定
↓
⑦ 結果が通知される
順番に見ていきましょう。
① 市区町村に申請する
まず、本人が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口などで要介護認定を申請します。
「どこへ行けばいいのか分からない」
という場合は、地域包括支援センターに相談するのも一つの方法です。
親と離れて暮らしている場合も、基本的には親が住んでいる地域を基準に考えます。
申請方法や必要書類は自治体によって確認しておきましょう。
② 認定調査を受ける
申請後、市区町村の職員や認定調査員などが本人と面接し、心身の状態や生活状況などを確認する認定調査が行われます。
ここは、家族にとっても非常に重要な場面です。
「普段できていないこと」を正確に伝える
親世代には、
「まだ自分は大丈夫」
「子どもに迷惑をかけたくない」
という気持ちから、調査の日だけ頑張ってしまう方もいます。
たとえば普段は一人で着替えるのが難しいのに、
「できます」
と答えてしまうことも考えられます。
そのため可能であれば、家族も普段の様子を整理しておきましょう。
認定調査前にメモしておきたいこと
たとえば、
- 一人で入浴できるか
- トイレに介助が必要か
- 着替えができるか
- 食事を一人で取れるか
- 歩行に不安がないか
- 転倒したことがあるか
- 薬を自分で管理できるか
- 同じ話を何度もすることがないか
- 夜間に介助が必要か
- 家族が実際にどんな介助をしているか
などです。
特に、「たまに起こる困りごと」もメモしておくと伝え忘れを防ぎやすくなります。
認定では調査項目だけでなく、特記事項や主治医意見書なども踏まえて総合的に判断されます。
③ 主治医意見書が作成される
要介護認定では、認定調査だけでなく主治医意見書も重要な資料になります。
申請を受けた市区町村が主治医に対して、本人の病気や心身の状態などについて意見を求めます。
主治医意見書は介護認定審査会での審査・判定に使用される重要な資料です。
最近病院に行っていない場合は?
親が長期間病院を受診していなかったり、主治医と呼べる医師がいなかったりする場合もあるでしょう。
その場合は自己判断せず、申請する市区町村の窓口に相談してください。
④ 一次判定が行われる
認定調査の結果などをもとに、全国共通の基準による一次判定が行われます。
ただし、
「コンピューターだけで最終的な要介護度が決まる」
わけではありません。
この後に介護認定審査会による審査があります。
⑤ 介護認定審査会で審査・判定される
一次判定の結果や認定調査票の特記事項、主治医意見書などをもとに、介護認定審査会が審査・判定を行います。
本人に実際どの程度の介護の手間が必要なのかなどを総合的に判断します。
そのため、認定調査のときに普段の生活状況を正確に伝えることが大切なのです。
⑥ 認定結果が届く
審査が終わると、市区町村から認定結果が通知されます。
結果は、
非該当(自立)
または、
要支援1・2
要介護1・2・3・4・5
などとなります。
なお、要介護認定の申請に対する処分は、法律上、原則として申請日から30日以内とされています。ただし、実際には審査状況などによって30日を超える場合もあります。
要介護度ごとの違いは?
ここで気になるのが、
「要介護1と要介護3では何が違うの?」
という点でしょう。
大まかなイメージとしては、
| 区分 | 状態のイメージ |
|---|---|
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自立しているが、一部支援が必要 |
| 要支援2 | 要支援1より支援が必要な場面が増えている |
| 要介護1 | 日常生活の一部で介護が必要 |
| 要介護2 | 日常生活で介護が必要な場面が増えている |
| 要介護3 | 日常生活全般で介護が必要になることが多い |
| 要介護4 | 多くの日常生活動作で介護が必要 |
| 要介護5 | 日常生活の多くで全面的な介護が必要 |
ただし、これはあくまで理解しやすくするための大まかな目安です。
実際の認定は「歩ける・歩けない」だけで決まるものではなく、認知機能や日常生活上の介助なども含めて判定されます。
「要支援2」と「要介護1」は何が違う?
特に分かりにくいのが要支援2と要介護1です。
この境界では、単純に「少し軽い・少し重い」というだけではありません。
厚生労働省の手引きでは、該当するケースについて、心身の状態が安定しているか、認知症などによって予防給付を適切に理解することが難しくないか、といった点も踏まえて審査・判定されます。
そのため、
「歩けるから要支援」
「認知症だから要介護」
と単純に判断できるものではありません。
認定結果が出たら何をする?
認定されたら、それで終わりではありません。
ここから実際に必要な介護サービスを考えていきます。
要介護の場合は、居宅介護支援事業者などに相談し、ケアマネジャーとケアプランを考えていくことになります。
要支援の場合は、地域包括支援センターなどが関わりながら、介護予防サービス等の利用を検討します。
たとえば、
- 訪問介護
- デイサービス
- 訪問看護
- 福祉用具
- ショートステイ
など、本人の状態や生活環境に応じたサービスを検討します。
要介護認定を受けたら老人ホームに入らないといけない?
そんなことはありません。
要介護認定を受けても、自宅で生活しながら介護サービスを利用している方はたくさんいます。
「認定を受ける=老人ホームに入る」
ではなく、
親が安全に生活するために、どんな支援が必要なのかを考えるための入口
と考えると分かりやすいでしょう。
在宅生活が難しくなってきた場合には、その段階で施設入居を検討する方法もあります。
元気なうちから介護について話しておこう
親の介護は、ある日突然始まることがあります。
転倒や病気による入院をきっかけに、
「退院後、一人暮らしに戻れないかもしれない」
という状況になることもあります。
だからこそ親が元気なうちに、
「もし介護が必要になったらどうしたい?」
と話しておくことも大切です。
自宅で暮らしたいのか。
施設への入居も考えているのか。
誰に相談してほしいのか。
お金はどう管理するのか。
少しずつでも確認しておけば、いざというときの家族の負担を減らせます。
まとめ|要介護認定は介護生活を整えるための第一歩
親に介護が必要になったとき、最初からすべてを理解する必要はありません。
まず覚えておきたいのは、
市区町村・地域包括支援センターなどに相談する
↓
要介護認定を申請する
↓
認定調査・主治医意見書
↓
審査・判定
↓
認定結果
↓
必要な介護サービスを考える
という流れです。
要介護認定は「親がどれだけできなくなったか」を決めるためだけのものではありません。
これからどのような支援を利用して生活していくかを考えるための大切な入口です。
分からないことがあれば家族だけで判断せず、地域包括支援センターや市区町村の窓口など、専門家の力を借りながら進めていきましょう。