
「病院から突然、親が入院することになったと連絡が来た」
「入院手続きって何を持っていけばいいの?」
「仕事もあるし、これから何をすればいいのか分からない……」
親が突然入院すると、家族は短時間でさまざまなことを判断しなければなりません。
入院手続きだけでなく、
必要な物を届ける
入院費について確認する
病院からの連絡先を決める
仕事や家族の予定を調整する
退院後の生活を考える
など、やることは意外とたくさんあります。
しかし、すべてを入院したその日に決める必要はありません。
この記事では、親が突然入院したときに家族がやることを、「まずやること」「入院中にやること」「退院前にやること」の順番で分かりやすく整理します。
親が入院したら、まず確認する5つのこと
突然入院したときは、まず次の5つを確認しましょう。
| 確認すること | チェック |
|---|---|
| 入院した病院・病棟・連絡先 | □ |
| 病名や現在の状態 | □ |
| 入院予定期間 | □ |
| 入院手続きに必要なもの | □ |
| 家族の代表連絡先 | □ |
救急搬送された場合などは、入院期間がまだ分からないこともあります。
分からないことは無理にその場で決めず、
「現時点では未定」
として整理しておけば大丈夫です。
① 病院名・病棟・連絡先を確認する
最初に、
- 病院名
- 病棟
- 病室
- 担当診療科
- 病院の電話番号
などをメモしておきます。
兄弟姉妹がいる場合は、家族のグループLINEなどで共有しておくと何度も確認する必要がありません。
また、病院から家族へ連絡する際の代表者を一人決めておくと連絡がスムーズです。
② 入院手続きに必要なものを確認する
必要なものは病院によって異なるため、必ず入院先へ確認してください。
一般的には、
- マイナ保険証または資格確認書
- 診察券
- お薬手帳
- 現在服用している薬
- 入院申込書などの書類
- 緊急連絡先
- 日用品・衣類
などを求められることがあります。
現在は従来の健康保険証ではなく、マイナ保険証を持っている人はマイナ保険証、持っていない人は資格確認書を使用する仕組みになっています。従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が満了しています。
「昔入院したときと同じ」と思わず、病院から渡された案内を確認しましょう。
③ 普段飲んでいる薬を確認する
親が複数の病院に通っている場合は特に重要です。
- お薬手帳
- 現在飲んでいる薬
- サプリメント
- 他院から処方されている薬
などを確認します。
親本人が説明できない場合に備えて、普段利用している薬局やかかりつけ医についても分かるようにしておくと安心です。
④ 家族の代表連絡先を決める
入院中は病院から、
「先生から説明があります」
「必要なものを持ってきてください」
「退院について相談したいです」
などの連絡が入ることがあります。
兄弟姉妹全員が病院と個別にやり取りすると、情報が食い違ってしまうこともあります。
そこで、
病院との連絡担当
↓
兄弟姉妹へ共有
という流れを決めておくとスムーズです。
⑤ 入院期間の見込みを確認する
数日の検査入院なのか、数週間・数か月になる可能性があるのかによって、家族が準備することは変わります。
ただし、入院直後には医師にも分からないことがあります。
その場合は、
「現時点でどのくらいを想定していますか?」
と聞く程度で構いません。
入院時に家族が用意するもの
病院によって違いますが、例えば次のようなものがあります。
書類関係
- マイナ保険証・資格確認書
- 診察券
- お薬手帳
- 入院に関する書類
- 緊急連絡先
衣類・日用品
- パジャマ
- 下着
- タオル
- 歯ブラシ
- ティッシュ
- 室内履き
- マスク
ただし最近は、パジャマやタオルなどをレンタルできる病院もあります。
大量に買ってから、
「全部レンタルに含まれていた」
となるともったいないので、まず病院の入院案内を確認しましょう。
入院費はいくらかかる?
突然の入院で心配になるのがお金です。
入院すると、
- 医療費の自己負担
- 食事代
- 差額ベッド代
- 衣類・タオル等のレンタル
- 日用品
などがかかる場合があります。
特に医療費が高額になりそうな場合は、高額療養費制度について確認しておきましょう。
高額療養費制度では、1か月の医療費の自己負担が一定の上限額を超えた場合に、その超えた部分について負担を軽減する仕組みがあります。
マイナ保険証なら限度額適用認定証が不要になる場合も
ここは以前と制度の使い方が変わっているため注意しましょう。
マイナ保険証を利用できる医療機関などでは、本人が情報提供に同意することで、限度額適用認定証を事前に申請しなくても、窓口で限度額を超える支払いを抑えられる仕組みがあります。
マイナ保険証を利用しない場合などは、加入している健康保険へ限度額適用認定証について確認します。
入院が長くなりそうな場合は、病院の相談窓口などで、
「高額療養費制度を利用したいのですが、何か手続きは必要ですか?」
と聞いてみるとよいでしょう。
差額ベッド代も確認しておこう
個室や少人数の病室を利用すると、差額ベッド代が発生する場合があります。
数日の入院なら大きな金額にならなくても、入院が長期化すると負担が大きくなることがあります。
入院時には、
「この部屋は差額ベッド代がかかりますか?」
「1日いくらですか?」
と確認しておきましょう。
親の家が空き家になる場合にやること
一人暮らしの親が入院した場合は、自宅のことも確認する必要があります。
例えば、
- 戸締まり
- 冷蔵庫の生もの
- ゴミ
- 郵便物
- 新聞
- ペット
- 植物
- 電気・ガス
- 定期的な宅配
などです。
数日の入院なら問題なくても、数週間以上になると対応が必要になるものがあります。
親のスマホ・財布・鍵の場所も確認しておく
意外と困るのが、
「必要なものが実家のどこにあるのか分からない」
というケースです。
可能であれば本人に、
- 自宅の鍵
- 財布
- スマートフォン
- 充電器
- 通帳
- 印鑑
- 保険関係の書類
- お薬手帳
などの場所を確認します。
ただし、通帳や印鑑などを家族が管理する場合は、本人の意思を確認し、むやみに使用しないよう注意しましょう。
会社にはどこまで伝える?
働いている人の場合、突然の入院で仕事を休まなければならないこともあります。
会社には必要に応じて、
「親が緊急入院し、手続きのため休みが必要です」
など、必要な範囲で伝えます。
入院が長引き、介護が必要になりそうな場合は、勤務先の介護休暇・介護休業などについて確認することも考えましょう。
兄弟姉妹がいる場合は役割を分ける
一人だけが、
病院
実家
仕事
お金
親族への連絡
を全部担当すると負担が集中します。
例えば、
| 担当 | 内容 |
|---|---|
| 病院担当 | 医師・看護師との連絡 |
| 実家担当 | 郵便・ゴミ・必要物品 |
| お金担当 | 入院費・保険関係 |
| 親族担当 | 親戚への連絡 |
| 退院担当 | 退院後の生活・介護 |
というように分けても構いません。
全員が同じ回数病院へ行く必要はありません。
入院中に確認したい「退院後の生活」
入院したばかりなのに、
「もう退院の話?」
と思うかもしれません。
しかし、高齢の親の場合は入院をきっかけに身体機能が低下し、
入院前と同じ生活に戻れない
ことがあります。
例えば、
入院前:一人で歩けた
↓
退院時:歩行器が必要
入院前:一人でトイレへ行けた
↓
退院時:介助が必要
ということもあります。
そのため、入院が長くなりそうなら早めに、
「退院後、一人暮らしに戻れそうですか?」
と医療スタッフへ相談しておきましょう。
退院後に介護が必要になりそうなら
まだ要介護認定を受けていない場合は、地域包括支援センターや病院の相談員などへ相談する方法があります。
すでに要介護認定を受けている場合は、担当のケアマネジャーにも入院したことを伝えておきましょう。
退院後に、
- 訪問介護
- デイサービス
- 福祉用具
- 訪問看護
- ショートステイ
などが必要になる可能性があります。
関連記事:「要介護認定とは?」
病院の「医療ソーシャルワーカー」に相談できることも
「退院後に一人暮らしへ戻れるか心配」
「施設を探した方がいい?」
「医療費が心配」
など、家族だけでは判断できない問題もあります。
病院によっては、医療ソーシャルワーカー(MSW)などの相談員が配置されています。
退院後の生活や福祉制度、介護サービスなどについて困った場合は、
「退院後について相談できる窓口はありますか?」
と病院へ聞いてみましょう。
身元保証人・身元引受人を求められたら?
病院によっては入院時に、緊急連絡先や保証人等について確認されることがあります。
医療機関が身元保証・身元引受等に期待する役割として、厚生労働省のガイドラインでは、緊急連絡先、入院中に必要な物品の準備、入院費、退院支援、死亡時の遺体・遺品の引き取りなどが整理されています。
ただし、身元保証人がいないことだけを理由に必要な医療を受けられない、という単純な話ではありません。 厚生労働省は身寄りのない患者にも必要な医療を提供できるよう、医療機関向けのガイドラインを公表しています。
身寄りがない、家族が遠方にいるなどの場合は、自分たちだけで判断せず病院の相談窓口へ相談しましょう。
入院中の付き添いを家族だけでできない場合は?
入院が長引くと、
「仕事があるので毎日病院へ行けない」
「遠方に住んでいる」
「退院の日だけどうしても付き添えない」
ということもあります。
こうした場合には、病院やケアマネジャーに相談したうえで、必要に応じて介護保険外のサービスを利用する方法もあります。
関連記事:「介護保険ではできないことは?」、「親の通院に付き添えないときは?」
親が入院したときのチェックリスト
保存して使えるようにまとめます。
入院直後
- □ 病院・病棟を確認
- □ 病名・状態を確認
- □ 入院期間の見込みを確認
- □ 家族の代表連絡先を決める
- □ 入院手続きの必要書類を確認
- □ マイナ保険証または資格確認書を準備
- □ お薬手帳・薬を確認
- □ 必要な衣類・日用品を準備
2~3日以内
- □ 入院費について確認
- □ 高額療養費制度を確認
- □ 差額ベッド代を確認
- □ 実家の戸締まりを確認
- □ 冷蔵庫・ゴミを確認
- □ 郵便・新聞などを確認
- □ 兄弟姉妹で役割分担
入院中
- □ 医師から今後の見通しを確認
- □ 退院後の生活を確認
- □ 必要ならケアマネジャーへ連絡
- □ 要介護認定が必要か確認
- □ 病院の相談員へ相談
退院前
- □ 自宅へ戻れる状態か確認
- □ 送迎方法を決める
- □ 薬を確認
- □ 次回受診日を確認
- □ 訪問介護などが必要か確認
- □ 福祉用具が必要か確認
- □ 家族だけで対応できるか確認
「退院=元の生活に戻れる」とは限らない
高齢の親の入院で特に意識したいポイントです。
病気そのものは良くなっても、
歩く力が落ちた
食事を作れなくなった
一人で入浴できなくなった
薬の管理が難しくなった
ということがあります。
退院日が決まってから慌てるのではなく、
「今の状態で家に帰ったら何に困る?」
を家族で考えてみましょう。
必要なら介護サービスを使います。
それでも一人暮らしが難しい場合には、老人ホームなどを検討することもあります。
まとめ|親が入院したら「今日やること」から一つずつ
突然の入院では、
これからどうなるんだろう
と先のことまで一度に考えてしまいがちです。
しかし、最初から全部決める必要はありません。
まず病院・状態を確認
↓
入院手続きをする
↓
薬・必要物品を準備
↓
入院費を確認
↓
家族で役割分担
↓
退院後の生活を考える
と順番に進めましょう。
特に高齢の親の場合、入院はその後の生活や介護について考えるきっかけになることがあります。
大切なのは、
「親が退院できるか」だけではなく、「退院した後、安全に暮らせるか」
まで考えることです。
家族だけで判断するのが難しいときは、医師や看護師、病院の相談員、ケアマネジャー、地域包括支援センターなどの力も借りながら準備していきましょう。