生前整理・遺品整理

生前整理とは?いつから始める?やること・進め方をわかりやすく解説

「生前整理」と聞くと、

「まだ元気なのに、そんなことを考えるのは早い」
「亡くなる準備みたいで抵抗がある」

と感じる方もいるかもしれません。

しかし、生前整理は亡くなるための準備だけではありません。

これからの暮らしを快適にするために物を整理したり、自分に何かあったときに家族が困らないよう財産や契約を分かりやすくしておいたりすることも、生前整理の大切な目的です。

特に親が高齢になると、

「実家に物が増えてきた」
「どこの銀行を使っているのか分からない」
「保険や土地のことを家族が何も知らない」

といった問題が少しずつ出てきます。

この記事では、生前整理とは何なのか、いつから始めればいいのか、具体的に何を整理すればいいのかを順番に解説します。


生前整理とは?

生前整理とは、自分が元気なうちに身の回りの物や財産、重要な情報などを整理しておくことです。

「家の中の不要品を捨てること」というイメージを持たれやすいのですが、それだけではありません。

例えば、

  • 衣類や家具などの整理
  • 預貯金や不動産など財産の整理
  • 保険の確認
  • 重要書類の整理
  • スマートフォンやパソコンの整理
  • SNSやネットサービスの確認
  • サブスクリプションなど契約サービスの整理
  • 家族に伝えておきたい情報の整理

なども生前整理に含まれます。

つまり、生前整理は「物」と「情報」の両方を整理する作業と考えると分かりやすいでしょう。


生前整理はいつから始める?

生前整理を始める年齢に決まりはありません。

60代や70代になってから始めるものと思われがちですが、

「まだ自分で判断して動けるうち」

に始めることが大切です。

例えば、

  • 定年退職したとき
  • 子どもが独立したとき
  • 引っ越しをするとき
  • 実家をリフォームするとき
  • 60歳・70歳など節目の年齢を迎えたとき
  • 家族構成が変わったとき

などをきっかけに始めてもよいでしょう。

元気なうちの方が整理しやすい

生前整理では、

「これは残したい」
「これは処分していい」
「これは○○に渡したい」

など、本人にしか判断できないことがたくさんあります。

体力や判断力が十分なうちなら、自分の希望に沿って整理できます。

反対に、病気や介護などによって本人が整理できなくなると、家族が判断しなければならないことが増えてしまいます。

そのため、

「必要になってから始める」のではなく、「まだ必要ないと思える時期から少しずつ始める」

くらいがちょうどよいでしょう。


生前整理をするメリット

① 家の中が暮らしやすくなる

物が多くなるほど、必要な物を探すのが大変になります。

使っていない家具や衣類などを整理すれば、生活スペースにも余裕ができます。

高齢になると、床に置いた荷物や家具が転倒の原因になることもあります。

生前整理は、これからの生活環境を整えることにもつながります。


② 自分の財産を把握できる

長く生活していると、

「昔作った銀行口座を忘れていた」
「使っていないクレジットカードがある」
「昔加入した保険の内容を覚えていない」

ということもあります。

一度整理することで、自分が現在どのような財産や契約を持っているのか確認できます。


③ 家族の負担を減らせる

親が亡くなったあと、家族は短期間にさまざまな手続きを行うことになります。

そのとき、

  • 銀行口座が分からない
  • 保険会社が分からない
  • 不動産の書類が見つからない
  • 借金があるのか分からない
  • スマートフォンの契約先が分からない

という状態だと、一つひとつ調べなければなりません。

生前に情報を整理しておけば、残された家族の負担を大きく減らせます。


生前整理でやること7つ

ここからは、実際に何を整理すればよいのか見ていきましょう。

① 家の中の物を整理する

まず取り組みやすいのが、身の回りの物です。

例えば、

  • 衣類
  • 靴
  • 本
  • 食器
  • 家具
  • 家電
  • 趣味用品
  • 写真
  • 思い出の品

などがあります。

一度に家全体を片付けようとすると大変です。

「今日はタンスの引き出し1段だけ」

というように、小さな範囲から始めるのがおすすめです。


② 預貯金を整理する

現在利用している金融機関を確認します。

  • 銀行名
  • 支店名
  • 口座の種類
  • 通帳の保管場所
  • ネット銀行の有無

などを整理しておきましょう。

長期間使っていない口座があれば、この機会に整理を検討してもよいでしょう。

ただし、暗証番号やインターネットバンキングのパスワードを誰でも見られる場所に一覧で置くことは避けましょう。

財産の存在を伝えることと、認証情報を安全に管理することは分けて考える必要があります。


③ 保険を整理する

生命保険や医療保険なども確認しておきます。

チェックしたいのは、

  • 保険会社
  • 保険の種類
  • 証券番号
  • 保険証券の保管場所
  • 受取人

などです。

古い保険証券が何枚もある場合は、現在も契約が続いているものと終了したものを分けておくと分かりやすくなります。


④ 不動産関係の書類を整理する

土地や建物を所有している場合は、不動産関係の情報もまとめておきます。

例えば、

  • 所有している土地・建物
  • 権利証・登記識別情報
  • 固定資産税関係の書類
  • 賃貸している不動産
  • 住宅ローン

などです。

不動産は相続手続きにも関係するため、家族が存在を把握できるようにしておくことが大切です。


⑤ 借金・ローンを確認する

財産だけでなく、負債についても整理しておくことが重要です。

例えば、

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • カードローン
  • クレジットカードの未払い
  • 個人間の借入れ

などです。

亡くなった方に借金があった場合、相続人が相続放棄などを検討することもあります。

そのため、プラスの財産だけを整理するのではなく、マイナスの財産についても家族が確認できる状態にしておきましょう。


⑥ スマホ・パソコン・ネットサービスを整理する

忘れやすいのがデジタル情報です。

現在は、

  • スマートフォン
  • パソコン
  • メール
  • SNS
  • ネット銀行
  • ネット証券
  • 写真データ
  • クラウドサービス
  • 動画・音楽配信サービス
  • ネット通販
  • 有料アプリ

など、多くの情報がオンライン上にあります。

本人しか存在を知らないサービスがあると、亡くなったあと家族が気付けないことがあります。

利用しているサービスを整理し、不要なものは解約しておくとよいでしょう。


⑦ 家族に伝えておきたいことをまとめる

生前整理で最後に考えたいのが、

「自分に何かあったとき、家族に何を知っておいてほしいか」

です。

例えば、

  • 財産の一覧
  • 重要書類の保管場所
  • 加入している保険
  • 連絡してほしい人
  • 葬儀についての希望
  • お墓について
  • ペットについて
  • 大切な物について

などがあります。

こうした情報はエンディングノートなどにまとめる方法もあります。


生前整理で捨ててはいけないもの

片付けを進めるときは、何でも処分してしまわないよう注意しましょう。

特に、

  • 遺言書
  • 通帳
  • 印鑑
  • 保険証券
  • 不動産関係書類
  • 年金関係書類
  • 契約書
  • 借入れに関する書類
  • 有価証券関係の書類
  • 貴金属・宝石
  • 古い写真や手紙

などは、内容を確認してから判断します。

一見すると不要な紙でも、相続や契約の確認に必要になることがあります。

「分からないから捨てる」ではなく、「分からないものはいったん保留する」

というルールを決めておくと安心です。


親の生前整理を子どもが勝手に進めてもいい?

親の家に物が増えてくると、

「早く片付けてほしい」

と思うこともあるでしょう。

しかし、親の物を子どもの判断だけで捨ててしまうのはおすすめできません。

子どもにとっては不要品でも、本人にとっては大切な思い出の品かもしれないからです。

また、

「亡くなった後に困るから片付けて」

と言われると、親が不快に感じてしまうこともあります。

生前整理について話すときは、

「これから暮らしやすくするために、一緒に整理しよう」

という考え方で進める方が自然です。


生前整理と終活は何が違う?

「終活」と「生前整理」は似ていますが、少し意味が異なります。

終活は、

人生の最期やその後を考えて行う活動全般

を指すことが多く、

  • エンディングノート
  • 遺言書
  • 葬儀
  • お墓
  • 相続
  • 医療や介護についての希望

など幅広い内容があります。

生前整理は、その中でも特に、

身の回りの物・財産・情報を整理すること

に重点を置いたものと考えると分かりやすいでしょう。


生前整理と遺品整理の違い

大きな違いは、誰が、いつ整理するかです。

生前整理
本人が生きているうちに、自分の意思で整理する。

遺品整理
本人が亡くなったあと、家族などが残された物を整理する。

生前整理をしておくことで、将来必要になる遺品整理の負担を軽くすることができます。

だからこそ、

「遺品整理を楽にするための生前整理」

という考え方もできます。


生前整理は一日で終わらせなくていい

生前整理で大切なのは、完璧を目指さないことです。

長年暮らしてきた家には、たくさんの物や思い出があります。

それを数日ですべて整理しようとすると、身体的にも精神的にも大きな負担になります。

例えば、

1か月目:衣類
2か月目:書類
3か月目:銀行・保険
4か月目:スマホやネットサービス

というように少しずつ進めても構いません。

また、一度整理して終わりではなく、年に一度見直す方法もおすすめです。


まずは「大切なもの」を確認するところから

「何から始めればいいか分からない」

という方は、捨てることから始めなくても大丈夫です。

最初に、

「絶対に捨ててはいけないものを集める」

ところから始めてみましょう。

通帳、保険証券、不動産関係書類、契約書などを確認して一か所にまとめます。

次に財産や契約を整理し、そのあとで衣類や家具などの片付けを進めます。

この順番なら、

大切な書類を誤って捨ててしまうリスクも減らせます。


まとめ|生前整理は「これから」を暮らしやすくするための整理

生前整理という言葉から、

「人生の終わりの準備」

をイメージする方もいるでしょう。

しかし、本来はそれだけではありません。

物を減らして暮らしやすい家にする。

自分の財産を把握する。

不要な契約を整理する。

大切な情報を家族に伝えられるようにする。

こうした一つひとつの整理が、これからの自分の暮らしをシンプルにすると同時に、将来の家族の負担を減らすことにつながります。

すべてを一度に終わらせる必要はありません。

まずは今日、

「重要な書類がどこにあるか確認してみる」

そんな小さなところから、生前整理を始めてみてはいかがでしょうか。

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