
「終活が気になってきたけれど、何から始めればいいのかわからない」
「まだ元気なのに、終活を始めるのは早い?」
そんなふうに感じている方も多いのではないでしょうか。
終活というと、葬儀やお墓、遺言など「人生の終わりに備えること」をイメージしがちです。
でも、終活で考えることはそれだけではありません。
これまでの人生を振り返りながら、
「これから、どんなふうに暮らしたいか」
「もしものとき、どうしてほしいか」
を整理していくことも、大切な終活のひとつです。
法務局が公開しているエンディングノートでも、もしものときに必要な情報を家族へ残すだけでなく、これまでの人生を振り返り、これからの人生を考えるきっかけとして活用することが紹介されています。
この記事では、初めて終活について考える方に向けて、終活とは何なのか、何をするのか、何から始めればいいのかを順番にわかりやすく解説します。
終活とは?
終活とは、一般的に人生の終わりに備えて、自分の希望や身の回りのことを整理しておく活動を指します。
たとえば、
・財産や相続について整理する
・医療や介護について希望を考える
・持ち物を整理する
・葬儀やお墓について考える
・家族に伝えておきたいことをまとめる
などがあります。
ただし、「亡くなった後の準備」だけが終活ではありません。
厚生労働省が紹介する「人生会議(ACP)」でも、自分が大切にしていることや望む生き方、もしものときに受けたい医療・ケアについて、あらかじめ考え、周囲と話し合うことが紹介されています。終活と人生会議は同じものではありませんが、自分がこれからどう生きたいかを考えるという点では関連する部分があります。
終活は「これから」のための準備
「終活」という言葉だけを見ると、少し寂しく感じるかもしれません。
ですが、実際に整理を始めてみると、
「これからやりたいこと」
「大切にしたいこと」
「家族に伝えておきたいこと」
などが見えてくることもあります。
終わりのためだけではなく、これからを安心して暮らすために考える。
「そなえの時間」では、そんな考え方も終活の大切な部分だと考えています。
終活は何のためにするの?
1.自分の希望を整理できる
もし病気や事故などによって、自分の意思を伝えることが難しくなったらどうするか。
医療や介護について、どんな希望があるのか。
葬儀やお墓はどうしてほしいのか。
元気なうちに考えておけば、自分自身の希望を整理できます。
すべてを一度に決める必要はありません。
「これは希望がある」「これは家族に任せたい」と整理するだけでも、立派な第一歩です。
2.家族の負担を減らせる
本人の希望がまったくわからない状態では、家族がさまざまな場面で判断を求められる可能性があります。
銀行口座はどこにあるのか。
保険には入っているのか。
大切な書類はどこにあるのか。
葬儀について希望はあるのか。
こうした情報を少しずつ整理しておけば、もしものときに家族が情報を探す負担を減らせます。
法務局も、エンディングノートを「家族が様々な判断や手続きを進める際に必要な情報を残すためのノート」として紹介しています。
3.お金や財産を整理するきっかけになる
終活では、預貯金、不動産、保険、有価証券など、自分が持っている財産を整理することもあります。
重要なのは、いきなり「誰に何を相続させるか」を決めることではありません。
まずは、
「自分には何があるのか」
を把握するところからで十分です。
財産を一覧にすると、自分自身のこれからの生活に必要なお金について考えるきっかけにもなります。
4.これからの暮らしを考えられる
終活をすると、「残りの人生」ではなく「これからの人生」に目を向けることもできます。
住まいをどうするか。
誰と過ごしたいか。
元気なうちにどこへ行きたいか。
どんなことにお金を使いたいか。
終活をきっかけに、これからやりたいことを書き出してみるのもおすすめです。
終活では何をする?8つのこと
終活には「必ずこれをしなければならない」という決まった順番があるわけではありません。
まずは、次のような項目から自分に関係するものを確認してみましょう。
| 項目 | 考えておきたいこと |
|---|---|
| エンディングノート | 自分の情報・希望・家族へのメッセージ |
| 財産・相続 | 預貯金・不動産・保険・相続・遺言 |
| 医療・介護 | 希望する医療や介護、もしものときの意思 |
| 身元保証 | 入院・施設入居時などの支援 |
| 生前整理 | 持ち物・貴重品・思い出の品 |
| 実家・不動産 | 将来誰が管理するか、売却・活用など |
| 葬儀・お墓 | 葬儀の希望、お墓、納骨など |
| デジタル関係 | スマートフォン・パソコン・各種サービスなど |
エンディングノート
初めて終活をするなら、特に始めやすいのがエンディングノートです。
・名前や連絡先だけでなく、
・家族について
・財産について
・医療、介護の希望
・葬儀、お墓
・大切な人へのメッセージ
などを書き残せます。
法務局でも無料で利用できるエンディングノートが公開されています。
ただし、エンディングノートと遺言書は同じものではありません。相続などについて法的な効力を持たせたい場合には、遺言について別途正しく理解しておく必要があります。
財産・相続
預貯金、不動産、保険などを整理して、どんな財産がどこにあるのかを把握します。
相続について希望がある場合には、遺言書について調べることも終活のひとつです。
最初から難しい相続手続きを理解する必要はありません。
まずは財産を書き出すところから始めましょう。
医療・介護
「介護が必要になったらどこで暮らしたいか」
「もしものとき、どんな医療やケアを希望するか」
などについて考えておくことも大切です。
厚生労働省では、自分が大切にしていることや望む生き方、もしものときの医療・ケアについて前もって考え、家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合う「人生会議(ACP)」を紹介しています。
身元保証
一人暮らしの方や、近くに頼れる家族・親族がいない方の場合、将来の入院や施設入居について不安を感じることもあるでしょう。
民間には、身元保証、死後事務、日常生活支援などを提供する「高齢者等終身サポート事業」もあります。政府のガイドラインでは、こうしたサービスを主に「身元保証等サービス」「死後事務サービス」「日常生活支援サービス」に分類しています。
ただし、サービス内容や料金は事業者によって異なります。消費者庁も、契約前にサービス内容や支払能力などを十分確認するよう注意を呼びかけています。
生前整理
使わなくなったものや、家族に残したいものを整理します。
全部捨てる必要はありません。
残す・譲る・売る・処分する
というように分けていくと進めやすくなります。
写真や手紙など、思い出の品は最後に整理するのもひとつの方法です。
実家・不動産
持ち家がある場合は、
「将来誰が住むのか」
「誰が管理するのか」
「売却するのか」
なども考えておきたいポイントです。
ただし、不動産の売却や資産管理に関する契約は大きなお金が動きます。消費者庁も、内容を十分理解しないまま契約せず、すぐに決めず周囲へ相談するよう注意喚起しています。
葬儀・お墓
葬儀の規模や方法、お墓、納骨、墓じまいなどについて希望がある場合は、家族へ伝えておくとよいでしょう。
細かな内容まで決めなくても、
「家族だけで静かにしてほしい」
「このお墓に入りたい」
など、希望を書いておくだけでも構いません。
デジタル関係
スマートフォンやパソコンの中にも、大切な情報があります。
SNS、ネット銀行、ネット証券、サブスクリプション、写真データなど、自分が利用しているサービスを整理しておくとよいでしょう。
ただし、パスワードそのものを誰でも見られる場所に書くのは避けるなど、情報管理には注意が必要です。
終活は何歳から始めればいい?
「終活は60代から?」
「70代になってからでも大丈夫?」
と気になるかもしれません。
ですが、終活を始める年齢に決まりはありません。
むしろ、自分で調べたり、整理したり、家族と話したりできる元気なうちに少しずつ始める方が取り組みやすいでしょう。
40代なら親のことをきっかけに。
50代なら自分自身のこれからも少しずつ。
60代なら退職や生活環境の変化をきっかけに。
70代以降でも、今からできることがあります。
「気になったときが、そなえどき。」
年齢よりも、始めようと思ったタイミングを大切にしてみてください。
終活は何から始める?初心者向け5ステップ
STEP 1|気になっていることを書き出す
まずは「何が不安なのか」を書き出してみましょう。
相続なのか、介護なのか、実家なのか、お墓なのか。
課題が見えるだけでも、次にすることがわかりやすくなります。
STEP 2|自分の情報を整理する
家族、連絡先、保険、預貯金、病院など、基本的な情報を整理します。
最初から完璧にする必要はありません。
STEP 3|エンディングノートを始める
全部埋めようとせず、書けるところから始めます。
「緊急連絡先だけ」
「保険だけ」
でも構いません。
STEP 4|家族と少し話してみる
いきなり「私が死んだら……」と切り出す必要はありません。
「最近こういう記事を読んだんだけど」
「もし入院することになったらどうしようね」
など、日常会話の延長から始める方法もあります。
STEP 5|必要なことから少しずつ進める
整理してみて、
「遺言について相談した方がよさそう」
「家をどうするか考えないと」
「介護について家族と話したい」
といった課題が見つかったら、優先順位をつけて進めていきましょう。
印刷して使える|はじめての終活チェックシート
「何から始めればいいか分からない」という方のために、そなえの時間オリジナルの終活チェックシートを作りました。
お金や大切な情報、緊急連絡先、医療・介護、家や持ち物、相続・葬儀・お墓など、終活で確認しておきたいことをA4サイズにまとめています。
全部を一度に埋める必要はありません。
できているところにチェックを付けながら、「これから確認すること」を整理するためにお使いください。
終活で気をつけたいこと
- 一度に全部やろうとしない
- 自分だけで決めず、必要に応じて家族と共有する
- 契約を急がない
- 法律・税金などは専門家や公的窓口に確認する
- 情報は定期的に見直す
特に身元保証や資産管理、不動産売却など、大きなお金が関係する契約は慎重に判断しましょう。消費者庁も、高齢者等終身サポートサービスではサービス内容・料金等を確認し、不安がある場合には消費生活センターや地域包括支援センターへ相談するよう案内しています。
家族と一緒に考えておきたいこと
終活は、自分一人だけの問題とは限りません。
特に、
・医療、介護
・実家
・相続
・葬儀
・お墓
・ペット
・緊急時の連絡先
などは、家族と情報を共有しておくことで、いざというときの判断がしやすくなります。
ただし、終活についての考え方は人それぞれです。
無理に話を進めるのではなく、少しずつ話せるタイミングをつくっていきましょう。
終活についてよくある質問
Q.終活は高齢者だけがするものですか?
いいえ。始める年齢に決まりはありません。
40代・50代から親の終活を考えたことをきっかけに、自分自身の情報整理を始めてもよいでしょう。
Q.まず何をすればいいですか?
迷ったら、紙やノートに自分の情報を書き出すことから始めてみましょう。
エンディングノートを利用するのもおすすめです。
Q.エンディングノートを書けば遺言書はいりませんか?
エンディングノートと遺言書は役割が異なります。
エンディングノートは家族へ情報や希望を伝えるのに役立ちますが、相続について法的な効力を持たせたい場合には、遺言について別途検討する必要があります。
Q.終活は一度やれば終わりですか?
生活状況や家族構成、財産、希望などは変わります。
半年や1年など自分でタイミングを決めて、ときどき見直してみるとよいでしょう。
まとめ|気になったときが、そなえどき。
終活というと、人生の最後について考えるものだと思われがちです。
でも、それだけではありません。
これからどんなふうに暮らしたいのか。
何を大切にしたいのか。
家族に何を伝えておきたいのか。
そんなことを少しずつ整理していく時間でもあります。
最初から全部決める必要はありません。
今日はノートを一冊用意する。
明日は緊急連絡先を書いてみる。
今度家族に会ったとき、少しだけ話してみる。
それくらいから始めてみませんか。
気になったときが、そなえどき。
これからの暮らしを、ちょっと安心に。